香りをつけて

自転車で通った海辺 学生服汗が滲んで
電車で向かう同じ海辺 時間と比例し距離も離れ
君がつけたタバコの香り 蘇る薄暗く煙い
ここは音だけが大きい 募る不満は無視できない

期待なんて言葉は 理想の押し付けだ
そんなことを思った 三重奏が止まった

香りをつけて しおり挟んで いつまでも忘れたくなくて
夜露に濡れて 二人悩んで 音楽はやまぬはずだった
命が尽きて 独りだなんて 分からない気持ちにつぶれて
瀕死の僕を 瀕死の君が助けた


お前に向けた曲が増え 硬いスーツ汗が滲んで
焦りが充満した部屋で 不本意な時間が増え続け
ついに出なくなった歌声 現実逃避の成れの果て
夢と現実の勝負に 夢は敗れた

香りをつけて しおり挟んで いつまでも忘れられなくて
涙に暮れて 月に朝焼け 涙の理由もわからない
一人じゃなくて 共に歩んで 破裂しそうな思い集め
ひとつひとつを 曲に詰め込んできたんだ


香りをつけて しおり挟んで いつまでも忘れたくなくて
記憶の全て 力になって 意味があると信じ続けて
歩んでたって 耐えられなくて 安心した弱い自分に
時々今も 怖くなるんだ 明日にはまたひとりぼっちだ
毎日今も 思ってるんだ 3人で歩めた未来を
季節を超えて 色褪せたって ただ共に見てみたかったよ
先の景色を

もしかしたらまた 悲しみに押しつぶされて
動かない体 そんな時があるだろう
その時まではさ 知らないふりを決め込んで
こぼれないように 毎日を生きるんだ
生きるんだ

戻る